【30坪〜40坪】沖縄の平屋コンクリートハウスを快適に変える全面リフォーム間取りアイデア集

沖縄の街並みを歩くと、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の住宅を数多く見かけます。実際、沖縄県の住宅ストックでは非木造住宅の割合が非常に高く、2023年の住宅・土地統計調査でも、鉄骨・鉄筋コンクリート造の住宅が大きな割合を占めています。台風の接近が多い沖縄では、RC造の住宅が「家族を守る頼もしいハコ」として選ばれてきた背景があります。
一方で、築30年、40年を超えたコンクリート平屋では、建てられた当時の暮らし方に合わせた間取りが、現在の生活に合わなくなっているケースが少なくありません。「部屋が細切れで暗い」「キッチンが孤立していて暑い」「収納が足りない」「湿気がこもってカビが気になる」――。こうした悩みは、沖縄の築古RC住宅でよく見られる課題です。
ただし、コンクリート造の住宅は、状態を正しく調査し、構造・防水・断熱・換気を踏まえて計画すれば、古い間取りを現代的な住まいへと大きく変えることができます。アイランドキッチンを中心にした開放的なLDK、洗濯から収納までを短くつなぐランドリー動線、家族全員の衣類をまとめられるファミリークローゼット、沖縄の強い日差しと雨を受け流す半屋外空間などを組み合わせることで、古い平屋は驚くほど暮らしやすい住まいへ再生できます。
本記事では、沖縄で検討されることの多い30坪〜40坪前後のコンクリート平屋を想定し、全面リフォーム・フルリノベーションで取り入れたい間取りアイデアと、RC造ならではの注意点を専門的な視点で解説します。
1. なぜ今、沖縄の「築古コンクリート平屋」リフォームが注目されているのか?
近年、住宅の新築費用は全国的に高騰・高止まりの傾向があります。建築費指数などを見ても、建築コストは過去と比べて高い水準で推移しており、資材価格や人件費、施工体制の影響を受けやすい状況が続いています。沖縄に限らず、新築で一から建てる負担が大きくなるなかで、立地の良い中古住宅を購入してリノベーションする、あるいは実家のコンクリート平屋を受け継いで全面改修する選択肢に注目が集まっています。
RC造の強みは、構造体としての耐久性や防災面の安心感にあります。ただし、「RC造だから何もしなくても100年大丈夫」と考えるのは危険です。国税庁の法定耐用年数では、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅用建物は47年、木造住宅は22年とされていますが、これは税務上の減価償却の基準であり、建物の実際の寿命そのものではありません。実際に長く使えるかどうかは、屋上防水、外壁のひび割れ、鉄筋腐食、塩害、中性化、配管更新、維持管理の履歴によって大きく変わります。
つまり、築古のコンクリート平屋をリフォームする際に大切なのは、「頑丈そうだから内装だけ替える」のではなく、構造体・防水・断熱・換気・配管まで含めて住まい全体を見直すことです。古くなった内装や間取りを刷新しつつ、必要に応じて劣化部分を補修し、現代の暮らしに合う性能へ引き上げる。これが、沖縄の築古RC住宅を長く快適に住み継ぐための現実的で価値あるアプローチです。
2. 現代の沖縄ライフに合わない?古い間取りの「4つの大問題」
リフォームで満足度の高いビフォーアフターを実現するには、まず「どこが住みにくさの原因になっているのか」を整理する必要があります。沖縄の古いコンクリート平屋によく見られる課題は、大きく4つあります。
① 細切れの間取りによる「光と風のブロッキング」
昔の平屋では、玄関から廊下が伸び、その左右に和室や小さな個室が並ぶ間取りが多く見られます。沖縄の昔ながらの住まいでは、仏間や客間を大切にする文化もあり、来客用の部屋と家族の生活空間が分かれていることも珍しくありません。ところが、現代の暮らしでは、家族がLDKで長い時間を過ごすスタイルが中心になっています。
部屋ごとに壁やふすまで区切られた間取りでは、外から入る光が奥まで届きにくく、風の通り道も途中で遮られます。窓はあるのに家全体が暗い、日中でも照明が必要、風が通らず湿気が一部にこもる。こうした状態は、間取りの分断が大きな原因になっていることがあります。
沖縄では那覇の平年値を見ても、梅雨から夏にかけて相対湿度が高く、6月の平均相対湿度は83%、5月・7月・8月も高めの水準です。湿気がこもりやすい間取りは、カビや結露のリスクを高めるため、光と風の通り道をどう確保するかが重要になります。
② キッチンが「孤立」し、熱がこもりやすい
古い住宅のキッチンは、壁に向かって調理する壁付けタイプや、リビング・ダイニングから分かれた独立型キッチンが中心です。この配置は、調理中のにおいや煙を生活空間から分けやすい一方で、家族とのコミュニケーションが取りにくく、配膳や片付けの動線も長くなりがちです。
沖縄の夏場は、調理による熱、家電の排熱、外気の暑さが重なります。さらにRC造は、コンクリートが昼間に熱をため込み、夜になっても輻射熱として室内に影響しやすい特性があります。沖縄県の省エネ住宅ガイドでも、コンクリートは比熱が大きく、夏は夜遅くまで暑く感じることがあると説明されています。
そのため、独立した小さなキッチンをそのまま使い続けると、料理をする人だけが暑く、孤立した作業スペースになってしまいます。現代のリフォームでは、キッチンをLDKの中心に移し、家族とつながりながら家事ができる空間へ変えることが大きな改善ポイントになります。
③ 現代の持ち物量に対応できない「収納不足」
築古住宅では、収納といえば各部屋の押し入れが中心です。布団や季節物をしまうには便利ですが、現代の暮らしでは、家電、掃除道具、日用品ストック、アウトドア用品、子供の学用品、仕事道具、趣味の道具、衣類など、収納したい物の種類が増えています。
収納が足りないと、居室にタンスや収納ケースを買い足すことになります。その結果、部屋が狭くなり、掃除がしにくくなり、風通しも悪くなります。湿気の多い沖縄では、家具の裏や押し入れの奥に空気が流れない状態が続くと、カビやにおいの原因にもなります。
全面リフォームでは、単に収納量を増やすだけではなく、「どこで使う物を、どこにしまうか」を考えた収納計画が必要です。特に30坪〜40坪の平屋では、ファミリークローゼット、パントリー、玄関収納、ランドリー収納を適切に配置することで、家具を減らし、居住空間を広く保つことができます。
④ 家事動線の長さと「洗濯物干し問題」
沖縄の洗濯動線は、間取り改善のなかでも重要度が高いテーマです。強い日差し、急なにわか雨、台風や強風、塩分を含む風、湿気の高さなど、外干しにはメリットとデメリットの両方があります。古い間取りでは、洗濯機が脱衣所にあり、物干し場が庭やテラスの離れた場所にあることも多く、洗う・運ぶ・干す・取り込む・畳む・しまうという一連の動作が長くなりがちです。
また、共働き世帯や子育て世帯では、天気に左右されにくい室内干し、ガス衣類乾燥機、除湿機、サーキュレーターを組み合わせたランドリールームの需要が高まっています。ただし、古い家には十分な室内物干しスペースがないため、リビングや寝室が洗濯物で占領されてしまうことがあります。
洗濯のストレスを減らすには、脱衣室、洗濯機、室内干し、乾燥機、畳むカウンター、ファミリークローゼットをできるだけ近くにまとめることが効果的です。沖縄の湿気対策としても、洗濯物を「どこで乾かすか」「湿気をどう排出するか」までセットで考える必要があります。
3. 劇的チェンジ!間取り変更を成功させる「3大コアアイデア」
30坪〜40坪の平屋を現代的に使いやすくするには、単に壁紙や床を新しくするだけでは不十分です。家族の過ごし方、家事の流れ、収納の位置、光と風の取り込み方を再設計することが大切です。ここでは、リフォームの核になる3つのアイデアを紹介します。
アイデア①:アイランドキッチンを中心に据えた「大空間LDK」への統合
細切れだった和室、ダイニング、キッチンのつながりを見直し、家の中で最も明るく風が通る場所に20畳〜30畳前後のLDKをつくるプランです。その中心に据えるのが、アイランドキッチンやペニンシュラキッチンです。
【従来の独立キッチン】
キッチン、ダイニング、和室、リビングがそれぞれ壁で分かれ、料理をする人が家族の様子を見にくい。
【リフォーム後の大空間LDK】
キッチン、ダイニング、リビングをひとつの空間としてつなぎ、キッチンに立つ人も家族と会話しながら家事ができる。
アイランドキッチンの魅力は、視線が抜けることです。キッチンに立ったとき、リビング全体や庭、テラスまで見渡せるようにすると、空間が実際の面積以上に広く感じられます。子供の様子を見守りながら料理をしたり、家族と会話したり、来客時にも孤立せずに過ごせます。
もうひとつの魅力は、回遊動線です。キッチンの左右どちらからでも移動できるため、複数人で料理をするとき、食事を配膳するとき、片付けをするときの動きがスムーズになります。背面にパントリーや冷蔵庫スペースをまとめれば、買い物後の収納動線も短くなります。
ただし、RC造のリフォームでは「壁を取れば必ず大空間にできる」とは限りません。壁式構造の場合、室内のコンクリート壁が建物を支える耐力壁になっていることがあり、撤去や大きな開口には構造検討が必要です。
そのため、リフォーム計画では、建築士や構造に詳しい専門家に既存図面や現地を確認してもらい、「壊せる壁」と「壊せない壁」を見極めることが前提です。抜けない壁がある場合でも、その壁をテレビ背面のアクセントにしたり、アーチ開口のように見せたり、キッチン収納の一部として活かしたりすることで、構造を守りながら開放感を演出できます。
アイデア②:「ランドリールーム×ファミリークローゼット」の家事ラク回遊動線
洗濯は毎日の家事のなかでも負担が大きい作業です。特に沖縄では、外干しが気持ちよい日もある一方で、急な雨や台風、湿気、強い日差しへの対応が必要になります。そこでおすすめしたいのが、脱衣洗面所、ランドリールーム、ファミリークローゼットを近接させた家事ラク動線です。
理想は、「脱ぐ」「洗う」「干す・乾かす」「畳む」「しまう」を短い距離で完結させることです。
- 脱衣洗面所で脱いだ衣類を、そのまま洗濯機へ入れる。
- 隣のランドリールームで、室内干し、除湿、乾燥機を使って乾かす。
- 乾いた衣類を畳む、またはハンガーのままファミリークローゼットへしまう。
この動線ができると、洗濯物を抱えて家の中を何度も往復する必要が減ります。外の天気に左右されにくくなり、リビングに洗濯物があふれるストレスも軽減できます。
ランドリールームには、室内物干しバー、カウンター、換気扇、除湿機置き場、サーキュレーター用のコンセント、ガス衣類乾燥機用のスペースなどを計画しておくと便利です。ただし、室内干しは湿気を大量に発生させるため、換気・除湿・空気の流れを必ずセットで設計する必要があります。
ファミリークローゼットは、玄関や水回りの近くに配置するとさらに便利です。帰宅後にバッグや上着をしまい、手を洗い、LDKへ入る流れをつくれば、生活感がリビングに散らばりにくくなります。家族全員の衣類を1箇所に集約すれば、各個室の収納を最小限にでき、部屋を広く使うこともできます。
アイデア③:沖縄の知恵「アマハジ(雨端)」を現代風に取り入れたインナーテラス
沖縄の伝統的な住まいには、「アマハジ(雨端)」と呼ばれる中間領域があります。アマハジは、室内と外部空間をつなぐ場所で、強い直射日光や横なぐりの雨を防ぎながら、人が集まり、風を感じるための知恵として機能してきました。
この考え方は、現代のコンクリート平屋にも応用できます。LDKの大きな窓の外側に深い軒や庇を設け、その下にタイルデッキやウッドデッキをつくる。あるいは、室内側に土間風のインナーテラスを設け、観葉植物や椅子を置ける半屋外的なスペースにする。こうした工夫により、室内と庭のつながりが生まれ、30坪の家でも実際以上の広がりを感じられます。
インナーテラスは、単なるおしゃれ空間ではありません。夏の日射を遮り、雨の日でも窓を開けやすくし、子供の遊び場、ペットスペース、BBQ前後の準備場所、濡れた傘やアウトドア用品の一時置き場としても活用できます。
省エネの観点でも、窓まわりの日射調整は重要です。開口部は外壁や屋根に比べて熱の出入りが大きく、夏期の冷房負荷を減らすためには、窓や庇、日射遮蔽部材を組み合わせて日射を調整することが重要です。
4. 【延床面積別】間取りリフォームの詳細アプローチ
30坪と40坪では、同じ平屋でも計画の考え方が変わります。30坪は無駄なスペースを減らして密度高く暮らす設計が重要で、40坪はゆとりを活かして収納や趣味、来客、在宅ワークにも対応しやすくなります。なお、30坪は約99㎡、40坪は約132㎡です。
【30坪(約99㎡)】無駄を削ぎ落とした「コンパクト&シームレス」
30坪の平屋は、夫婦2人、または夫婦+子供1〜2人の3〜4人家族に向いているサイズです。ただし、廊下や使われていない和室、収納効率の悪い押し入れが多いと、実際より狭く感じられます。この広さで開放的なLDKと使いやすい水回りを両立するには、「廊下をできるだけ減らす」ことが重要です。
30坪プランのポイントは、家の中心にLDKを置くことです。玄関からLDKへ入り、LDKを起点に主寝室、子供部屋、水回り、ファミリークローゼットへアクセスできるようにします。廊下を単なる通路として長く取るのではなく、LDKや収納と兼ねることで、使える面積を増やします。
LDKは20畳〜25畳前後を目安にし、キッチン、ダイニング、リビングを一直線またはL字につなげます。大きな窓の先にデッキや庭を設けると、面積以上の開放感が出ます。構造上抜けない壁がある場合は、その壁を空間の中心に残し、テレビ壁、飾り棚、キッチン腰壁、ワークカウンターとして活かす方法もあります。
収納は、ウォークスルー型ファミリークローゼットが効果的です。LDKと寝室の間、またはランドリールームと寝室の間に配置し、通路と収納を兼ねることで、限られた面積を無駄なく使えます。各個室に大きな収納を分散させるより、家族の衣類をまとめたほうが管理しやすい場合もあります。
子供部屋は、最初から小さく分けすぎないことがポイントです。子供が小さいうちは、ひとつの広めの部屋として使い、成長に合わせて家具や軽い間仕切りで分けられるようにしておくと、ライフステージの変化に対応できます。将来、子供が独立した後は、趣味室、書斎、客間として使えるようにしておくと無駄がありません。
【40坪(約132㎡)】ゆとりとプライベートを両立する「ホテルライクな平屋」
40坪の平屋になると、空間にかなりのゆとりが生まれます。4〜5人家族、来客が多い家庭、二世帯的な暮らし、在宅ワーク、趣味を大切にする暮らしにも対応しやすくなります。沖縄では親族や友人が集まる機会も多いため、来客動線と家族動線を分ける設計も検討しやすくなります。
40坪プランでは、玄関からLDKへ向かう「おもてなし動線」と、玄関から手洗い、ファミリークローゼット、浴室、ランドリールームへ向かう「家族の生活動線」を分けることができます。来客がLDKに入っても、洗濯物や脱衣所、家族の衣類が見えにくくなるため、生活感を隠しやすくなります。
キッチンまわりには、3畳前後のウォークインパントリーを設けると便利です。食品ストック、調理家電、非常用備蓄、飲料、紙類などをまとめて収納でき、キッチンの天板をすっきり保てます。沖縄では台風に備えた備蓄を持つ家庭も多いため、パントリーは単なる収納ではなく、防災面でも役立ちます。
ファミリークローゼットは、5畳以上の独立型にすると、衣類だけでなく、季節寝具、スーツケース、礼服、学校用品、スポーツ用品までまとめやすくなります。ランドリールームと直結させれば、洗濯後の収納が非常に楽になります。
40坪のゆとりがあれば、LDKの一角にヌックをつくることもできます。ヌックとは、読書や昼寝、子供の遊び、リモートワークの合間の休憩に使える小さなこもり空間です。段差をつけたり、天井を少し低くしたり、窓際にベンチを設けたりすると、家の中に居心地のよい場所が増えます。
また、在宅ワーク用の書斎やワークスペースを個室として確保できるのも40坪プランの強みです。オンライン会議が多い場合は、LDKの一角ではなく、音が伝わりにくい独立空間にしたほうが暮らしやすくなります。主寝室にウォークインクローゼットやセカンド洗面を設ければ、ホテルライクなマスターベッドルームも実現できます。
30坪・40坪のリフォーム特徴比較
| 項目 | 30坪のリフォーム(コンパクトモデル) | 40坪のリフォーム(ゆとりモデル) |
| 主なターゲット | 夫婦、3〜4人家族、効率重視の家庭 | 4〜5人家族、来客が多い家庭、二世帯的な暮らし、在宅ワーク |
| LDKの考え方 | 廊下を抑え、20畳以上のLDKを確保 | 25〜30畳級のLDKに、テラスやヌックを組み合わせやすい |
| 収納計画 | 通路を兼ねたウォークスルー型ファミクロが有効 | 独立型ファミクロ、大型パントリー、玄関収納を充実できる |
| 個室計画 | 可変性のある子供部屋、兼用できる書斎 | 独立性の高い個室、来客室、趣味室、書斎を確保しやすい |
| 水回り | 洗濯〜乾燥〜収納を最短動線でまとめる | ランドリーを広く取り、洗面の2ボウル化や脱衣分離も可能 |
| 向いている方向性 | 生活動線を短くし、無駄を削る | 生活感を隠し、ホテルライクな余白をつくる |
5. コンクリート造(RC造)特有のリフォーム注意点とプロの対策
コンクリートハウスの全面リフォームは、木造住宅のリフォームとは考え方が異なります。見た目の間取りだけで判断せず、構造、防水、劣化、断熱、換気、配管を総合的に確認することが大切です。
注意点①:「壁式構造」か「ラーメン構造」かで間取りの自由度が変わる
RC造には、柱と梁を中心に建物を支えるラーメン構造と、壁・床・屋根などの面で建物を支える壁式構造があります。ラーメン構造の場合、室内の一部の壁は間仕切りであることが多く、比較的間取り変更の自由度があります。ただし、すべての壁を自由に撤去できるわけではなく、構造図や現地調査が必要です。
一方、壁式構造では、室内のコンクリート壁そのものが建物を支えていることがあります。この場合、壁を撤去したり、大きな開口を設けたりすると、建物の安全性に影響する可能性があります。壁式RC造の躯体改造は、耐力壁、壁梁、床スラブなどの構造躯体に関わるため、構造安全性を確認しながら慎重に進める必要があります。
そのため、リフォーム前には、既存図面の確認、現地での壁厚確認、鉄筋探査、ひび割れや劣化の確認を行いましょう。図面がない古い住宅では、経験だけで判断せず、必要に応じて構造設計者や建築士に相談することが重要です。
壁が抜けない場合でも、リフォームの可能性がなくなるわけではありません。抜けない壁を中心にゾーニングし直す、壁を収納やテレビボードに取り込む、開口ではなく建具やガラスで視線を通す、照明計画で暗さを解消するなど、構造を活かしたデザインが可能です。
注意点②:コンクリート特有の「暑さ・寒さ」を抑える断熱・遮熱計画
沖縄のRC住宅でよく聞かれる悩みが、「昼間に熱をため込み、夜まで暑い」というものです。沖縄県の省エネ住宅ガイドでも、RC造住宅が多い沖縄では、コンクリートの比熱や輻射熱の影響により、夏は夜遅くまで暑く感じ、冬は寒く感じる場合があると説明されています。
全面リフォームでは、間取り変更と同時に断熱・遮熱の見直しを行うことが重要です。内装を解体するタイミングであれば、壁や天井の内側に断熱材を入れやすく、古い配線や配管も更新しやすくなります。沖縄では冬の寒さ対策だけでなく、夏の日射と蓄熱をどう抑えるかが大きなテーマです。
屋根は特に重要です。平屋の場合、屋上や陸屋根が受ける日射の影響が家全体に及びます。遮熱塗装、防水改修、断熱材の追加、屋上の劣化補修を組み合わせることで、室内の暑さを抑えやすくなります。ただし、遮熱塗装だけで劇的に快適になると考えるのではなく、断熱、窓、換気、空調計画とセットで考える必要があります。
窓も大きなポイントです。開口部は外壁や屋根などと比べて熱の出入りが大きく、夏期や中間期の冷房負荷、冬期の暖房負荷を抑えるには、日射を上手に調整することが重要です。古いアルミサッシと単板ガラスのままでは、冷房効率が上がりにくく、結露や暑さの原因にもなります。Low-E複層ガラス、樹脂またはアルミ樹脂複合サッシ、内窓、外付けブラインド、深い庇などを、方角ごとに検討すると効果的です。
注意点③:沖縄の湿気・結露・カビを「換気・除湿・通風」で抑える
沖縄のRC住宅では、湿気対策も重要です。沖縄県の省エネ住宅ガイドでは、高温多湿な空気が住宅躯体の冷えた部分に触れると結露を引き起こし、カビや木部の腐朽、白蟻被害の原因になることがあると説明されています。また、RC造住宅が多い沖縄では、コンクリート部分と気温との差が大きくなる場合があり、結露を生じやすい環境があるともされています。
そのため、「窓を開ければ解決」ではなく、湿度の高い外気を入れる時間帯、エアコン使用後の温度差、室内干しの湿気、収納内部の空気だまりまで考える必要があります。間取り変更の際は、南北または東西に風が抜けるように窓や室内建具を配置し、風が止まりやすい収納や洗面室には換気扇や給気経路を計画します。
24時間換気も重要です。建築基準法のシックハウス対策では、化学物質の室内濃度を下げるため、建材や換気設備に関する規制が設けられ、住宅を含む居室が対象とされています。既存住宅のリフォームでも、換気設備の更新や計画換気の見直しは快適性と健康面の両方で大切です。
調湿建材も有効ですが、過信は禁物です。エコカラット、珪藻土、漆喰などは、湿度変化をやわらげたり、質感のよい内装をつくったりする補助的な役割があります。しかし、室内干しや浴室まわり、収納内の湿気を根本的に解決するには、換気、除湿、空気の循環、断熱、結露対策を組み合わせる必要があります。
注意点④:塩害・中性化・防水劣化を事前に調査する
沖縄のコンクリート住宅では、海風による塩分、強い紫外線、台風時の風雨、高湿度の影響も無視できません。塩害環境では、RC造の長寿命化に向けた補修・維持保全が重要です。
築30年、40年の平屋では、屋上防水の劣化、外壁のひび割れ、コンクリートの浮き、鉄筋の錆汁、爆裂、雨漏り跡、配管まわりの劣化を確認する必要があります。中性化や鉄筋腐食が進んでいる場合、内装をきれいにするだけでは根本解決になりません。必要に応じて、ひび割れ補修、断面修復、防水の全面改修、外壁保護仕上げ、配管更新を行うことが大切です。
特に陸屋根の防水は、平屋RC住宅の寿命と快適性に直結します。雨漏りが起きてから直すのではなく、リフォームのタイミングで防水層の状態を確認し、劣化が進んでいる場合は全面的な改修を検討しましょう。
6. まとめ:受け継いだ強固なハコを、次世代へ続く快適な住まいへ
沖縄のコンクリート平屋は、台風や強い日差しに向き合いながら、長年家族を守ってきた住まいです。その構造体は大きな価値を持っていますが、築年数を重ねた住宅では、間取り、断熱、換気、防水、配管、収納が現代の暮らしに合わなくなっていることも少なくありません。
昔ながらの細切れで閉鎖的だった空間を見直し、構造上可能な範囲で開放的なLDKへ再編する。家族の様子を見渡せるアイランドキッチンを中心に据える。洗濯から収納までを短くつなぐランドリールームとファミリークローゼットを設ける。沖縄の知恵であるアマハジの考え方を、インナーテラスや深い庇として現代風に取り入れる。こうした工夫により、30坪〜40坪の平屋は、面積以上に広く、明るく、暮らしやすい住まいへ変わります。
ただし、RC造リフォームでは「壁を抜いて広くする」「内装をきれいにする」だけでは不十分です。壁式構造かラーメン構造かを確認し、壊せる壁と壊せない壁を見極めること。屋上防水や外壁の劣化、塩害、中性化、鉄筋腐食を調査すること。暑さを抑える断熱・遮熱、湿気を逃がす換気・除湿、熱の出入りを抑える窓まわりの改修を同時に考えること。これらを丁寧に行うことで、築古のコンクリートハウスは、見た目だけでなく性能面でも快適な住まいへ近づきます。
建て替えるのではなく、良い構造を活かし、必要な部分を補修し、現代の暮らしに合わせて再設計する。30坪〜40坪という平屋として使いやすい広さを最大限に活かせば、沖縄の風、光、庭、家族の時間を楽しめる「次世代へ住み継げるコンクリートハウス」をつくることができます。





